はじめに
瞬間最大風速。
得点者
マンチェスター・シティ 1-1 チェルシー
得点:後半38分 ロドリ(マンチェスター・シティ)/前半42分 ラヒーム・スターリング(チェルシー)
試合前
ウルブズ、リバプールに4失点での連敗の後、FA杯とリーグ戦で勝ちを取り戻したチェルシー。
中盤のプレーヤーが得点力を獲得し、今度は3得点×2。
波のあるチームらしさを全開にしている。
そのチェルシーの前半戦でのベストゲームは雨中のマンチェスター・シティ戦だろう。
昨季の欧州王者相手に壮絶な打ち合いを演じ、最後は古巣対戦となったコール・パーマーが土壇場でPKを沈め、勝点1を分け合った。
派手なスコアもさることながら、90分の展開やサッカーの内容もハイレベルで、今季のリーグ全体でもベストゲームだった。
ここ数年プレミアを席巻するシティに対し、不安定なチームの瞬間最大風速が噛み合った90分のリマッチが2月にやってきた。
今度はシティのホーム、エティハドでの一戦となる。
前回対戦時とは様相が特に異なるのはチェルシーの方か。
ロベルト・サンチェス、チアゴ・シウバ、マルク・ククレジャ、リース・ジェームズら守備の主力は怪我で不在。
逆に中盤以降はエンソ・フェルナンデスらコナー・ギャラガーが公式戦2戦連発と調子を上げてきており、攻撃陣はクリストファー・エンクンクやノニ・マドゥエケが復帰。
一方で値千金のPKを獲得したアルマンド・ブロヤはレンタルでチームを離れている。
ホームで迎えるシティは引き続き首位のポールポジション。
試合数の差で暫定ながら2位ではあるが、この試合に勝てば首位に浮上する。
圧倒的な攻撃力で、2024年は全勝かつ全試合で複数得点。
特に司令塔、ケビン・デ・ブライネが復帰以降はさらに破壊力が増し、エースのアーリング・ハーランドは前節衝撃の2ゴール。
ジャック・グリーリッシュが不在ではあるが、フリアン・アルバレスやジェレミー・ドクがスタメンを埋め、ベルナルド・シウバはベンチに帰還。
そしてケビン・デ・ブライネはスタメンに名を連ねた。
対するチェルシーのスタメンは、前節からチアゴ・シウバに代わりレヴィ・コルウィルが、攻撃陣では左にラヒーム・スターリングが入った。
試合展開については前回同様、プレミアリーグのキャンペーンとなる一戦を期待したい。
試合内容
開始からハイプレスと巧みなポゼッションを見せるマンチェスター・シティがボールを支配する。
強烈な二列目、特にドクが何度もボールに触る。
そのドクのサイドからハーランドが高い打点のヘディングを狙ったが枠を外れた。
対するチェルシーもカウンター気味にスターリングがシュートにまで持ち込む。
割り切りながらも虎視眈々とシティゴールを狙うチェルシー。
ニコラス・ジャクソンが前からの守備でエデルソンを急襲すると、今度はゴール前で決定機を迎える。
千載一遇の好機だったが、今度は逆にエデルソンの飛び出しに阻まれた。
同じような決定機をスターリングも迎えるが、ここは中途半端なトラップでフイにしてしまう。
チェルシーの好機の直後は空いたスペースを油断なく狙うシティ。
ドクが単騎でシュートにまで持ち込むがペトロビッチがしっかりと抑えた。
ロドリを徹底的にギャラガーが見張り、ボールを持たれながらも決して狙い通りの組み立ては許さない。
粘り強い守備から三度目の正直で先制点を陥れたのはアウェーチームだった。
ハイラインの裏を突いたジャクソンが中央に折り返すと、待っていたのはスターリング。
トラップや切り返しは100点ではなかったものの、最後はウォーカーとエデルソンの上を行く冷静なフィニッシュでゴールを陥れた。
先制点を奪われ圧力を強めるシティはさらに攻勢に出る。
デ・ブライネやアルバレスがチャンスを作るが、気合の入ったディサシがギリギリで耐え、2度のガッツポーズ。
前半を耐え抜いたチェルシーが1点リードで折り返した。
後半開始からテンションを継続し、圧を高めるシティ。
デブライネのFKやハーランドのボレーが襲うが、枠を捉えることはできない。
チェルシーもパーマーのクオリティが右を切り裂き、ビッグチャンスを作るが、エデルソンが2つのビッグセーブ。
追加点には至らない。
いよいよデブライネやフォーデンが加速してきたシティの猛攻が続くが、最後の最後で体を張る。
スターリングを下げエンクンク、アルバレスを下げベルナルド・シウバと双方攻撃のカードを切りながらも、試合の展開は大きく変わらず。
チアゴ・シウバを欠く中で高い集中力を見せるCB陣に、怪我明けのトレヴォ・チャロバーも加わる。
デブライネの高精度キックからハーランドがフリーのヘディング
押し込み続ける中、炸裂したのはロドリのミドルだった。
これも前回同様、こぼれ球を叩いたシュートがディフレクションし、ゴールに吸い込まれた。
再び土壇場でロドリにゴールを奪われたチェルシー。
かさにかかるホームチームが何度もドクに託すが、マロ・グストが最後の最後まで食らいつく。
再三のセットプレーも何とか耐えたチェルシー。
シティとの再戦は再びドローに終わった。
選手採点
GK
ジョルジェ・ペトロビッチ 6.5
相手のシュートミスが多かったのも事実だが、守備範囲に飛んできたボールには安定感のあるセーブ。
失点シーンも彼に非はなく、シティ相手に最小失点で耐えた。
空中戦ではやや危ういシーンもあったが、スクラムにも果敢に飛び込んだ。
ケパを見ていたサポーターからすると、「枠外に飛んでいく(飛ばされる)」事も重要
DF
アクセル・ディサシ 7.0
16回のクリアに代表されるように、強力なシティ攻撃陣を前に出色の出来。
陸空ともに体を張り続け、最後の砦として立ちはだかる。
DFリーダーであるチアゴ・シウバ不在の中で、気迫と闘志みなぎるプレーは加入後ベストと言って良いパフォーマンス。
そこまで得意ではなかったビルドアップも精度を増しており、起点となる縦パスを何本も刺す。
覚醒の予感を漂わせる90分だった。
レヴィ・コルウィル 6.5
CBとしてアーリング・ハーランドという強敵と対峙。
一度フリーにする失態があったが、シュートミスに助けられる。
それ以外のシーンではひたすら身体を当て続け、止め切れない中でストレスは与え続けた。
デ・ブライネの高速クロスにも懸命に足を伸ばし、出来ることをきっちりとやり抜いた。
マロ・グスト 7.0
ディサシと並び、MOM級のプレー。
ドクと何度も1vs1のシチュエーションを作られたが、絶妙な間合いと的確なタックルで決定的なプレーは一度も許さず。
リーグ屈指のドリブラー相手に、個の質で上回った。
攻撃でも機を見た飛び出しやクロスでアシスト未遂が2度。
RJ不在を全く感じさせず、既に守備は円熟の域。
勝点1の奪取に大きく貢献した。
ベン・チルウェル 6.5
復帰以降、尻上がりに調子を上げている現主将。
好調のフォーデン相手だったが、鋭い出足で侵入は許さず。
さすがに攻撃参加の回数は限られたが、やるべき仕事はしっかりとこなしたと言っていいだろう。
前回はククレジャが、今回はチルウェルと、ハイクオリティなSBを両サイドに備えるのがチェルシー最大の強みだろう。
MF
モイセス・カイセド 6.5
開始からタイトなプレーを見せ、王者相手に中盤の主導権を争う。
故に早々にイエローをもらうこととなり、その後の展開が危ぶまれたが、上手くコントロールしながら90分を戦い抜いた。
柔軟に立ち位置を替えて攻撃を仕掛けるシティ相手に中盤最奥を死守。
ビルドアップではハイプレスを受けながらも大きなミスなくこなし、潤滑油としてもレベルの高さを示した。
エンソ・フェルナンデス 6.0
展開力に強みのある選手だけに、自身の持ち味を存分に出せなかったのは仕方ない。
それでも高い強度の守備を続けられるのが、新世代のゲームメーカーらしさ。
運動量も試合終了まで保ち続け、球際でも奮闘した。
ジャクソンからシュートを横取りしたシーンは、直近の得点力への自信か、ジャクソンへの不信か。
コナー・ギャラガー 6.5
ロドリ番という最重要タスクを任せられる。
最終的には混戦から決められてしまったものの、彼の責任ではない。
ボールを常に握りながらも、シティ側にリズムが出なかったのは、心臓であるアンカーをギャラガーが徹底的に封じていたからでもある。
レベルを上げたテクニックや気の利いた顔出しで攻撃にも上手く絡み、ピッチのあらゆる場所に顔を出す。
欠かせない戦力というだけでなく、ビッグマッチでも重要な存在に大きく成長している。
FW
コール・パーマー 6.5
冷静なポジショニングと卓越した技術で、プレスの雨の中で何度も時間を作り出す。
ハイライン相手に幾度も裏にボールを通し、カウンターの起点になる。
攻撃のみならず守備面での貢献度も高く、読みで封じるシーンはサッカーIQの高さを感じさせる。
ハイレベルな攻防をの中で、かつてのチームメイト相手にこの試合でもクオリティを証明する
逆に鋭いスライディングを見せたアケには感心の表情を浮かべる一幕も。
ラヒーム・スターリング 7.0
直前に決定機を外していたとはいえ、42分の先制点は非常に大きかった。
ロストや決定機でのミスが無いわけではなかったが、試合展開的にも大きなゴールは高く評価したい
また試合前に懸念された守備でも、時には自陣深くまで戻り、献身的なプレー。
自陣エリア内で交錯したシーンはひやりとしたが、ウォーカーの首倒立にとどまった。
直近は一時ほどのインパクトを欠いていたが、古巣相手の好パフォーマンスで、復調の兆しを見せる。
ニコラス・ジャクソン 6.5
グストからのビッグチャンスは、多くのチャンスが望めない中で、FWとして決めなければならなかった。
ただしそれ以外の部分ではしっかりと自らのタスクをこなし、前線からの守備やポストプレーで高い存在感を見せる。
巧みな抜け出しから先制点をアシストした点も評価。
決めきれれば本当にスーパーな選手になれるのだが、
交代選手
クリストファー・エンクンク 5.5
お役御免のスターリングに代わり途中出場。
高いインテンシティの試合に入りきれたとは言えず、らしさはほとんど見せられなかった。
タスク的にも献身的な守備や体を張るプレーが求められたが、屈強な相手CBの手を煩わせることはできず。
もともとの適正的に難しい部分があるのは仕方ないが、やはりタスクの達成度としてはやや不満。
トレヴォ・チャロバー 6.0
怪我から復帰し、今季初出場を記録。
リハビリ感など皆無の相手と内容だっただけに、試合にしっかり入っただけでも評価したい。
自身の足にあたった同点ゴールは不運だった。
最後はもう一度ロドリのシュートがディフレクションしたものの、こちらは何とかクリアした。
チェザーレ・カザデイ ー
監督
マウリシオ・ポチェッティーノ 6.5
それぞれに明確なタスクを授け、敵地に11人を送り出す。
先制点までは狙い通りで、終盤までよく耐えた。
逃げ切り策はやや早すぎるようにも感じたが、ベンチメンバーから一定やむを得ない部分もある。
これで今シーズンはシティ相手に二戦二分。
もちろん勝ちたい試合でもあったが、掴んだ結果は決して悪くはない。
終わりに
シティ相手は何だか高カロリーな試合になりつつある。
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