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理想と現実の狭間。チェルシーvsマンC採点 【チェルシー観戦記】

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※本ブログは2018年12月9日にはてなブログに投稿されたものです

こんにちは。お布団とお友達になっている私です。最近めっきり寒くなってきたので深夜にサッカーを見ている皆さんもお気をつけて。

さてそんな寒い日が続いていますが、プレミアリーグでは熱い上位対決が行われました。今日はチェルシーのホーム、スタンフォードブリッジで行われたチェルシーvsマンチェスターシティの一戦を振り返ります。

チェルシーvsマンチェスターシティ 

     2-0

得点者

カンテ(45分)

ダビド・ルイス(78分)

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(FOX Sports Asiaより)先制点を挙げたカンテと90分見事なプレーを見せたアスピリクエタ

試合前

戦前の予想は圧倒的なシティ優位。前節はお互い苦しい闘いを中位相手に演じたが、2-1で競り勝ったシティと逆に2-1で逆転負けしたチェルシーの差を指摘する声が上がった。

成熟した王者シティのポゼッションと脆さを露呈した1年目の「サッリ・ボール」。チェルシー監督のマウリシオ・サッリも認めるところで「一つ抜けているチーム」「倒し方がわからない」と相手をリスペクトした発言を繰り返した。もっとも今となってはこの感想も圧倒的な分析を繰り返していたからとも取ることができる。

両チームポゼッション主体の戦い方だが、ボールを支配するのはシティだろうという見方が強く、実際試合もそのように進行する。

ここ数試合低調な試合を続けていたチェルシーだが理由は各選手の不調。特に疲労が見られるマルコス・アロンソやたまに集中力の欠けるシーンが見られるダビド・ルイス、攻撃ではウィリアンにミスが続き、エデン・アザールもシーズン序盤の輝きを見せているとは言い難い。CFのアルバロ・モラタとオリビエ・ジルーの存在感も希薄。

「心臓」ジョルジーニョを潰された時のビルドアップや、エンゴロ・カンテやセサル・アスピリクエタというチームの屋台骨である選手たちにも疑問符が付くようになった。唯一の希望は好調をキープするルベン・ロフタス・チークのみ。

対するシティは開幕からリーグ15戦無敗と圧倒的な強さを誇る。最近はレロイ・ザネ、ラヒーム・スターリング、リヤド・マフレズのウイングが好調。守備は堅実で複数失点が今季リーグ戦で未だにない。

唯一の懸念は続出するけが人。長期離脱中の司令塔ケビン・デ・ブルイネ、エースのセルヒオ・アグエロをはじめ、大外レーンを一人で制圧できるベンジャミン・メンディも負傷と並のチームなら飛車角落ちと言ってもおかしくはない。

ただしそこで崩れることがないのが王者の王者たるゆえん。IHにはベルナルド・シウバがコンバートされ、控えにはイルカイ・ギュンドアン。1トップにはガブリエル・ジェズス、左SBには本職がMFの”本物の偽SB”であるファビアン・デルフで的確な処置。分厚い選手層、盤石の布陣で苦しい試合展開でも他チームを振り切ってきた。

スタメン

チェルシーはモラタをベンチからも外しアザールの0トップを敢行。バックラインには休養を挟んだルイスが復帰し、激戦の左IHにはマテオ・コバチッチ。懐疑的な見方も増えてきたカンテは「従来通り」右IHの位置に入った。

ベンチにはジルー、ロフタスチークら攻撃のカードに加え、エメルソン・パルミエリを置きアロンソの不調にも備えた。

対するシティもまさかの0トップ。スターリングを中央に置き、マフレズとザネがサイドを固める。前節負傷の様子が見られたヴァンサン・コンパニではなくジョン・ストーンズとエイメリク・ラポルトの足元に優れるコンビが最終ラインに名を連ねた。

控えにはやや信頼に陰りが見えるジェズスをはじめやや攻撃なカードは手薄いが、それでも豪華さは別格。

お互いが0トップを採用したことは同値で無謀なロングボールを捨てたことを意味する(おそらくサッリは左サイドの守備も懸念してだが)。

「我々がボール回しで優位に立つ」。スタメンからお互いの意地がぶつかった。

試合開始

試合開始から主導権を握ったのは戦前の予想通りマンチェスターシティ。流麗なパス回しもさることながら、取られてもすぐに取り返すプレスが機能し、ボールを渡さない。

これまでチェルシー相手に善戦以上したチームは「ジョルジーニョへのパスコースを切る」ことに活路を見出していたが、むしろシティは「ボールを渡さない」ことで封じる王者の戦いぶり。また仮に渡っても即座に潰しショートカウンターからスターリングの決定機を演出するが、ミートしなかった。

チェルシーは奪った後のファーストパスに苦戦し、主導権を握られる。特に最近組み立てに苦戦するカンテの位置でパスコースをふさがれ前に進めない。それでも試合通じて出色のパフォーマンスを見せたセサル・アスピリクエタとダビド・ルイスの2人を中心に最後の最後の踏み込みは許さず。

効果的な前進こそ出来ないものの意地でもボールは捨てないチェルシー。コバチッチのテクニックを生かし何とかボールを繋ごうとするが後方で苦し紛れのキープに留まる。

それでも徐々に慣れてきたチェルシーとわずかにハイプレスが緩んできたシティ。次第にジョルジーニョとアザールというチェルシーのキーマンのボールタッチが増えてくる。

迎えた45分。後方からダビド・ルイスが正確なフィードを送ると反応したのはペドロ。デルフ相手に仕掛けると絶妙のタイミングでサイドチェンジ。受けたウィリアンのファーストタッチとサポートに来たアロンソのコントロールは乱れたが結果アザールに届く。5人の視線と体を引き付けたアザールはこの日初めてのエリア内でのタッチ。強引な折り返しに一歩早く反応したのは走りこんできたカンテ。強烈な右足をエデルソン・モライスの頭上に叩き込みリードを奪った劣勢のホームチーム。初のシュート、初の枠内シュート、そしてゴールによりサポーターのボルテージは最高潮。その直後にマイケル・オリバーが笛を吹いた。

後半開始

1点を求め前に出てくることが予想されたシティ。しかしHT明けでペースを握ったのは先制点で勇気を得たチェルシー。前半は狙いどころになっていた右サイドの崩しが決まりだし、シティのお株を奪うパスワークで翻弄。フィニッシュでウィリアンがキレを見せるもエデルソンが追加点を許さない。

流れの悪さを自覚したかペップ・グアルディオラは完封されているザネを諦めガブリエル・ジェズス投入。徐々に盛り返すとセットプレイの連続から圧力をかける。しかしルイスとリュディガーが気迫のヘディングではじき返す。

一進一退の攻防、ハイインテンシティの戦いに過密日程の選手たちの体は悲鳴を上げ始める。特に肉体、精神的にも高いレベルで消耗している中盤ではコバチッチとダビド・シルバが負傷交代。

大きな追加点が入ったのは78分。バークリーのシュートがギリギリかすって得たCKに反応したのはここまで気合に満ち溢れたプレーを見せていたダビド・ルイス。自慢のアフロヘアを振り乱したボールがゴールに吸い込まれると再びスタンフォードブリッジは大歓声に包まれた。

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(The Telegraphより)咆哮するダビド・ルイス

シティはビハインド、それも2点という展開に動揺したか、らしくないミスが相次ぐ。試合通じて細かなミスはあったがダビド・シルバ不在もあり、徐々に効果的な攻めができなくなる。サイドを変えたスターリングに託すが鬼神のごときアスピリクエタ相手に攻めあぐねる。

試合はこのまま終了。マンチェスターシティの開幕からの無敗は15試合でストップ。リバプールに抜かれ久々の2位転落。チェルシーはシティとの差を7に縮め、CL権争いでも中心に残った。

選手採点

チェルシー

GK

ケパ・アリサバラガ 6.5

好セーブはウォーカーのFKと自身のミスから失った後半ATに限られたがどちらも好反応で得点を許さず、これまで圧倒的な攻撃力を見せていたシティ相手にクリーンシート。

秀逸だったのは巧みな足元の繋ぎ。囲まれても丁寧に近場に預ける、一つ飛ばしてミドルパス、頭を狙ったロングパスと選択はもちろんスピード、精度共に「先駆者」エデルソン相手に勝るとも劣らないところを見せつけた。若さに見合わない落ち着き、強心臓っぷりで「何が何でも繋ぐ」という意思を最後尾から体現した。

DF

セサル・アスピリクエタ 7.5

これぞ守備職人。対応を一度たりとも間違えず、1対1で強気のディフェンスを披露。深い位置でも粘り強い対応で決定的なところへの侵入は許さず。相手はサネとスターリングというプレミア屈指のスピードスターだったが完璧な対応で13のタックルをぶつけ、すべてのデュエルを制する。

今季は攻撃面も含め物足りないと評されることもあったが負けなしの1vs1、1点ものの決定的なシュートブロックは彼の真骨頂。絶好調のサネがオフサイドを連発し50分でベンチに退いた事実が最も雄弁に彼の活躍ぶりを物語る。

先日4年契約を結び、この試合がチェルシーでの300試合目。MOM級の活躍で華を添えた。

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(Daily Mirrorより)「圧巻」のパフォーマンスを見せたアスピリクエタ。

ダビド・ルイス 7.5

ここ最近軽率なプレーが続いていいたがこの試合は並々ならぬ集中力で守備を牽引。上背とフィジカルの強さを前面に押し出し、小柄なシティ前線相手に力強いプレー。サネやジェズスの決定機にも「珍しく」粘り強く、体をぶつけ、シュートまで打たせない。度重なるクロスにも集中を切らさなかった。

さらに特筆すべきはその攻撃面での貢献で、1点目は高精度のロングパスで起点になると78分にはこの日初めてのCKから大きな追加点。ゴール後のセレブレーションで見せた気迫の表情がこの試合に乗せていた思いを如実に表している。

アントニオ・リュディガー 6.0

スピードある3トップを相手にしたが、それを苦にしない身体能力はさすがの一言。マフレズやシルバの蹴るいやらしいボールにも自慢の跳躍力ではじき返し、ゴール前に立ちはだかる。ビルドアップにはやや苦しんだが、徐々に解決策を見つけ、後半は右サイドから崩しの打開策を見つけ出す。

ファールにこそなったものフィジカル自慢のウォーカーを弾き飛ばしたシーンに象徴されるように体のぶつけ合いでは負け知らず。気合の入った守備で強豪を零封する姿はさすがの#hustle。いよいよ世界最高のCBの階段を着実に上っている感が出てきた。

マルコス・アロンソ 6.0

ここ最近は疲労の影響もあってか低調なパフォーマンスに終始。この試合も31分にスターリングに抜かれるなど若干怪しいシーンはあったもののそれ以外は苦手な快足FW相手に勇気を持った前に出る対応。

先制点のシーンはミスになったものの、タイミングを逃さない上がりの良さはやはり”DFW”。地上戦では後手を踏んだが長身を生かした空中戦では存在感を発揮。エメルソンのベンチ入りも刺激になったか奮闘を見せた。

MF

ジョルジーニョ 6.5

支配率で上回られ自分にボールが入らない展開。彼の良さが出る試合にはならないと思われたが、身振り手振りで味方への指示を出しビルドアップを手助けすると、時間とともに触れるように。結果として数字には表れなかったが危険なところに出そうとする縦への意思、ポゼッションの為にリズムを作る横パスの使い分けも絶妙。

守備でも同じ4-3-3のアンカーを務めるフェルナンジーニョ相手に積極的な牽制を行い走行距離は12キロ超え。持たれる試合でも対応ができることを示す。

マテオ・コバチッチ 6.5

劣勢の前半にチームが消耗しきることなく耐え抜けたのは彼が時間を作ってくれたおかげ。卓越した足技と小柄ながら倒れない体幹の強さは見事でキープ、ドリブル、パスの判断も素早く、チームのボールキープに多大な貢献。

対面した名手ベルナルド・シウバにも存在感を発揮させず苦しむアロンソへのサポートも高評価。激戦の代償として負傷交代するが、今後も重要なピースを担うことは間違いなく、レアルからの完全移籍を望むばかり。

エンゴロ・カンテ 7.5

神様仏様カンテ様。疑問を持たれていた右IH起用が正しかったことを証明するかのような躍動でサッリもしてやったりか。

前半開始こそシティのプレッシャーの前に晒されパスコースを見つけるのに苦労したが、徐々に適応すると45分には初シュートをゴールに叩き込む。最高の時間帯の得点はチームにも自らにも勇気を与え、後半は右サイドを完全に制圧。

対面するダビド・シルバのみならずもう一段後ろのラポルトにもプレッシャーをかけストレスを与え続ける驚異の仕事量を90分継続。「相手ボール保持時には引いてくれ」と言ったサッリの信じた進化が想像以上の形で体現された試合となった。

FW

ペドロ・ロドリゲス 7.0

既にベテランの域に入ったペドロだが運動量と献身性は衰え知らず。アスピリクエタが遅らせたところに戻ったペドロが挟み込んでボールを奪うという形で何度もシティの攻撃を食い止める。

本職の攻撃ではデルフ相手に主導権を握ると両利きを生かした対角線上のパスを効果的に通す。結果的にこれが先制点につながった。

試合終了まで好守に絶大な存在感を放ち、勝利の影の立役者に。

ウィリアン 6.0

前節ウルブズ戦では戦犯級のミスを犯してしまい、サポからの信頼も薄くなりつつあったがこの試合は守備から奮闘。ハイプレスにさらされながらも個人技で密集を抜けられる突破はやはり魅力。先制点のシーンはややコントロールが乱れたが、ウルブズ戦の反省を生かしたかすぐさま素早いクロスにプレーを変更したことが得点につながった。

不満げな途中交代にはなったが、そのおかげで浴びたサポーターからの拍手が奮闘ぶりを表している。

エデン・アザール 7.5

ほとんどボールに触れられなかったが、前半あった唯一のエリア内でのプレーをアシストにしたのはさすがのクオリティ。後半はこちらもその日初となったCKを蹴り2つ目のアシストを記録し、気づけばアシストランクでトップに。回数こそ多くなかったが少ないチャンスを得点に結びつける千両役者ぶり。これぞ10番。

試合通じては苦しい時間のキープ、ファールを誘う技術を含め、ゴールキックもCBではなく体格的な不利の少ないフェルナンジーニョと競り合うプレーで起点になり、クレバーなところも見せる。

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(Metroより)小柄ながら強さを見せたアザール。少ないチャンスを仕留めきる

途中出場

ロス・バークリー 6.5

高レベルの試合でケガによる途中出場と入るのは難しかったはず。それでもコバチッチにまさるフィジカルとミドルシュートの意識を見せ追加点のCKにつなげる。最優先事項の守備やボールキープでも奮戦。自身の武器を強敵相手にも見せ、激戦の左IHで存在感を見せる。

ルベン・ロフタス・チーク 6.0

ここ最近の好調ぶりから先発も予想されたがこの試合はベンチから。フィジカルの強さと推進力で簡単には奪われない強さを見せ、時間と相手の人数をかけさせる。決定的なシーンは作れなかったものの課題の守備もしっかりとこなす。

オリビエ・ジルー -

アザールに代わり終了間際に途中出場。ボールタッチはほとんどなかったがファーストプレーではロングボールに力強く競り勝ち、サポーターのボルテージを最後まで上げきる。

 監督

マウリシオ・サッリ 7.5

「勝ち方がわからない」と言いつつもスパーズ戦では機能しなかったように見えたアザールの0トップを採用し、ポゼッションの真っ向勝負を挑む。交代策もハマり、入念に準備された戦略で終わってみれば2-0で首位を撃破。

もちろんその戦術自体も評価されるべきだが、前節敗れたチームのモチベーションを高めた点も素晴らしく、押し込まれっぱなしだった前半に集中力を切らさず闘えたのは彼のマネジメントの賜物。

最後に

いかがだったでしょうか。ここ最近苦しい試合が続いていたチェルシーサポーターにとっては久々に興奮する一戦になりましたね。

それにしてもシティ強い…。怪我人続出でこのクオリティはさすがですね。

私としては体を張ってゴールを死守しワンチャンスをモノにする、スタイルは変わっても根源にある伝統を見せてくれたこと、今季微妙と言われたアスピリクエタやカンテが活躍したことがとても嬉しいですね。

とはいえまだまだリーグは中盤。今後も今日のような闘いに期待しましょう!

それではまた。

〜おしまい〜

コメント

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