はじめに
皆さんこんにちは。私です。
久しぶりのブログですね。
なんででしょう。
さて、我らがチェルシーもここ最近は浮上してきましたね。
やはり今シーズン獲得した新戦力のフィットが大きいですと感じます。
そしてそのタイミングで昨季からのユース組を取り上げるのが私です。
今回は成長著しいリース・ジェームズです。
上昇
リース・ジェームズが存在感を増している。
昨季チェルシーデビューを飾った若き右SB。
今季は開幕戦を含むリーグ7試合中5試合にスタメンとしてピッチに立っている。
チェルシーの守備の要、そして主将としてピッチ内外で精神的支柱も担うDFセサル・アスピリクエタがベンチに座る時間が長くなった。
元々危険地帯に送り込む鋭いクロスや既に出来上がっている強靭なフィジカルは高い評価を受けていた。
一方で目下同じポジションを争うのは守備職人としてプレミアでトップに立ち続けていたスペイン代表だった。
もちろん運に恵まれていた部分もある。
昨季FA杯でアスピリクエタが負傷したことや、年齢的に優遇されているのも否定できない事実であろう。
しかしそれでも、現在右SBのファーストチョイスの座を奪おうとしていることに変わりはない。
未熟な原石
先述のようにリース・ジェームズの特徴は攻撃性能にある。
単騎での突破も厭わないスピードとフィジカル、そしてそこから放たれるクロスは大きな可能性を感じさせる。
ところが一方で守備面や細かいディテールの部分では偉大なる主将に大きく後れを取っていた。
昨季特にデビュー直後の顕著なスタミナ切れ、簡単に1vs1で剥がされる、マークを見失うなど、自陣での振る舞いは未熟そのものだった。
いずれも「クエタ神」を見慣れたサポーターには非常に物足りなく映った。
そしてそうした細かい部分が勝敗を分けるのが、群雄割拠のイングランドプレミアリーグである。
また攻撃も単騎性能としては魅力的だが、サポートのタイミングやインナー/オーバーラップの判断ではアスピリクエタが前に出る。
決して身体能力に圧倒的に秀でているとは言えないベテランSBが、それでもアシストを積み重ねていたのは、ひとえにフリーで上がるタイミングの良さと、それを続ける卓越したスタミナがあったからに他ならないのだ。
実際、右サイドで何度もアスピリクエタと好連携を見せたFWウィリアンがジェームズとの縦関係の時は、不満げな表情を見せていたこともある。
こうした総合的な連携を加味すれば、攻守ともに右SBはアスピリクエタに分が上がる、というのが昨季の定説だった。
フランク・ランパードの選択は間違っていなかったと言える。
厳然から得たもの
厳然たる壁。出場機会を減らす中で、レンタルでの武者修行を選ばせるというのがチェルシーのこれまでの定石だったかもしれない。
実際同じ右SBで高い期待を背負っていたDFタリック・ランプティはブライトンへ移籍し、今では欧州ビッグクラブのトップターゲットとも囁かれる。
リース・ジェームズの潮目が変わったのは、左SBのエメルソン・パルミエリが信頼を失ったことだ。
これによりアスピリクエタが左に回り、右SBはそのまま2番手のジェームスが昇格、スタメンを掴んだ。
若手にとっては必要不可欠な「出場機会」が思わぬ形で転がり込んだ。
そして強いてもう一つのターニングポイントを挙げるなら3バック導入ではないか。
これまで3バックと言えばアントニオ・コンテがチェルシーで採用していたが、ランパードも強豪との試合で導入を決断。
CBの右にアスピリクエタ、右WBにジェームズという布陣を好んで採用した。
後ろに枚数がいる状況のためジェームズは攻撃に専念できる、というのが90分間で得られたこのフォーメーションのメリットだった。
一方でセサル・アスピリクエタのプレーを間近で体感できるというのも、実は長期的に見れば無視できない効用だったのではないか。
整った舞台
そして迎えた今季、開幕戦のスターティングイレブンに名を連ねると、得意の右足からパンチ力抜群のミドルシュートを叩き込む。
悪い流れを断ち切り、決勝点となる強烈ミドル。
抜擢した監督は「練習で決めていたからね、驚きはないよ」。
まだまだ先に述べたような守備の甘さはあるものの、それも改善の兆しは見える。
もちろん36歳の今なおセレソンを牽引するチアゴ・シウバという稀代のDFリーダーや、左SBにはスペシャリストであるDFベン・チルウェルが固定されたことも影響はあるだろう。
そしてジェームズと縦関係を築く右WGには「モロッコの魔術師」、卓越した左足を持つMFハキム・ツィエクがついに解き放たれた。
これまでタッチラインを背に縦に仕掛けることの多かったウィリアンでは、サポートの判断も難しかった。
しかし今後は中へのカットインを得意とするレフティーが前に立つ。
ツィエクをマークするDFが空けた大外レーンは、ジェームズが迷いなく走りこめるスペースになるだろう。
新戦力の恩恵はリース・ジェームズをさらなる躍進へと導くだろう。
さらなる高みへ
もちろんまだまだ現主将も老け込む年齢ではない。
相変わらず的確な1vs1の対応は安定感が群を抜く。
5試合連続のクリーンシートの初戦となったマンチェスターU戦では、FWマーカス・ラッシュフォードら屈指のドリブラーを相手に堅実な対応でゴール前に鍵を閉めた。
また第4節ではPKを巡り起こりかけた諍いを冷静に対処。
若いチームに必要な存在であることは間違いがない。
そんな主将からジェームズは大きく学んでいるだろう。
ツィエクがプレミア初アシストを記録した第7節バーンリー戦。
「アシストのアシスト」をしたのはジェームズからのボールだった。
それも70分に敵陣深い位置で相手のパスをインターセプトしてからのパス。
的確な読みとそれを可能にする走力と判断力がもたらしたダメ押しゴールだった。
これまでのジェームズでは息切れしていたような時間帯。
あるいはここで取れるという予測は出来なかったかもしれない。
チームの勝利に大きく貢献するプレーを見せたその背中には、単なる能力だけではない、偉大な努力家でもあるキャプテンの影が間違いなく滲んでいた。
~おしまい~
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