こんにちは。しっかり寝落ちして第22節のニューカッスル戦を見逃した私です。結局朝の5時ごろから90分見たのですが、まあ危ないシーンはありつつも辛勝ということで、この過密日程を考えれば悪くはなかったのではないでしょうか。また追走されていた5位アーセナルが敗れたこともあり、6ポイント差が付けられたのは大きいですね。
というわけでタイトルの通り今日の主役はそのニューカッスル戦で決勝点を奪ったウィリアンです。
空気を読まない男
ウィリアンと聞くとチェルシーサポーターは何を想像するだろうか。今季(18-19)シーズンを最初から見てきたファンは低調ぶりに嘆くだろうか。不用意な位置でのボールロストから失点につながるシーンを思い返すだろうか。
はっきり言って数節前までのウィリアンはワーストプレーヤーに近かった。決定機でのミスや、自陣での判断ミスなどで思うように伸びない勝点の原因は彼だとされた。
そこに舞い込んだバルセロナからのオファー。ローマから強奪したものの輝きを見せられていないマウコム+金銭という形のトレード。バルセロナの控えとは釣り合わないという見方が強い一方で、全て移籍金として手元に来るなら放出も構わない、という評価を下すサポーターも多かった。
ところがそんな噂が出る中でのニューカッスル戦の一撃である。もっとも訪れた決定機の多さを踏まえれば1ゴールはやや物足りないところだが、2人の間を抜いたコントロールショットはなぜ彼がこのチームで重要なポジションに立ってきたかを示すものだった。
実際リーグ杯などここ最近の試合では復調しており(チームの調子が今一つなので一部からイメージによる批判にさらされてはいたが)、特にアザールが中央に移り得意の左サイドを任せられることも増えた。時間の問題としてのゴールでもあった。
仮にこの試合で散々なパフォーマンスをすればサポーターからの移籍の要望(バルセロナの再オファーという話もある)が加速した可能性はあるが、サッリも冬の移籍を容認する気配はなく、ひとまず沈静化すると見ていいだろう。
そんな彼の真骨頂、それは脈絡のなさである。
流れからの逸脱
南米系、特にブラジル人選手は試合の雰囲気に流されない力を持っているとよく言われる。彼らが「マリーシア(駆け引き)」を得意とするのもこうした性質故で、ネイマールなどはそのトップクラスだろう。チェルシーではダビド・ルイスが狡猾にファールをもらうシーンをよく見る。
ウィリアンはこの雰囲気に流されないというのを素で行っている選手だ。彼が意識してやっているのかはわからないが、良くも悪くも周りに影響を受けることがほとんどない。この場合の周りとは「チーム状況」でもある。チームが好調の時は輝けないが、悪い時の孤軍奮闘ぶりは凄まじい。それがウィリアンだ。
見事なゴールを挙げた直近のニューカッスル戦も正直チームの状態は悪かった。疲労のためかパスがつながらず、せっかく奪った1点も前半終了間際に水泡に帰した。
ところが、である。最悪の時間帯での失点をものともせず、後半開始直後からチャンスを作ると、57分に上げたゴールは決勝点となる。ここ最近の批判や移籍の話をかき消す鮮烈な一撃だった。
思えば彼の言動やプレーにはそうした「文脈のなさ」が多い。
後に「例のシーズン」と語られるモウリーニョ第2次政権の3年目では、軒並み主力が低調なパフォーマンスに陥る中一人奮闘。CLでは多数の直接FKを含めた8試合5ゴールというプレーを披露し、たった一人でチームを決勝Tまで導いた。
17-18シーズンでは、何とかチームがシティに食らいつく2017年内、自身は決して良いとは言えない出来だった。しかし年明け以降大きく調子を落としたチームの中で、驚異的な復調ぶりを見せると、果敢な突破から何度も単独でチャンスを創出。
優勝することになるFA杯ハル戦での2ゴールから戻したキレは絶好調だったバルセロナと互角以上に渡り合う唯一の刃に。スタンフォードブリッジで迎えたCL決勝T1stレグでは2度のポスト直撃の後の1ゴールを浴びせ、クレに冷や汗をかかせた。(何度か大きめのオファーが送られてくるのは多分そのせい)
南米系の選手は生い立ちが貧しいものも多く、また養わなければならない家族もいるため、年俸を比較的重要視する。ウィリアンに関しては先述のバルセロナ含めモウリーニョが率いていたマンチェスターユナイテッドが再三オファーがあるものの、本格化することはない。おそらくはかなりの好条件を提示しているのだろうが、トランスファーリクエストを提出したり、不満をメディアに暴露ということもない。
もっと言ってしまえばチェルシーに来たのも完全に流れから逸脱しており、トッテナム行き間近でのハイジャックでやってきた。デビューゴールの逆足でのコントロールミドルも、数年後にwe hate Tottenhamを歌っている姿も誰も想像さえしていなかった。
パスサッカーの中でもボールを足元に止め、1対1で仕掛ける。得意とする直接FKを含め、プレースタイルまでも彼を象徴する。流れを逸脱した中にこそ、いや流れの逸脱こそ彼の真骨頂である。
今季のチェルシーは過密日程の中多くのケガ人が出ている。ウィリアンを含む数名は連続スタメンが続くが、勤続疲労もあり、主力がプレーの精度を欠く場面も目立つ。チームとしては緩やかとはいえ下り坂である。
しかしこういう状況でこそ調子を上げてくる、そして上げてきたのがウィリアンという男だ。たった一人で敵陣を切り裂き続けた昨季も、彼が急激に好調になりだしたのは年明け前後だった。そしてとうとう今節、どうだと言わんばかりに振りぬいた右足は2か月半ぶりの3点目。批判にさらされた22番の反撃に、全ての舞台は整いつつある。
最後に
はい、というわけで今日はウィリアンの日でした。個人的にはモウリーニョ暗黒政権の中でたった一人輝いていたのが印象的なので、今後も頑張ってほしい選手です。でもボールロスト後にセルフジャッジするのはやめてね。
流れの逸脱、なんて書いてますけど言い換えればどんなサッカーにも必須な「アクセント」ってことで、多分アザールとの微妙な相性も「アクセント」としてのアザールとノッキングするからなのかなあと思っています。
「フィニッシャー」としてのアザールとならうまく調和するといいですね。
次節アーセナル、さらにリーグ杯トッテナム戦とチェルシーは難しい試合が続きます。結局一人が奮闘しても5位に終わるのは昨季よくわかったので復調している(はずの)ウィリアンとチームの連携に期待ですね。
それではまた。
~おしまい~
コメント
[…] 「文脈を読まない」男。反撃の準備を整えたウィリアン セルフジャッジはダメだぞ […]
[…] 「文脈を読まない」男。反撃の準備を整えたウィリアン ボールロストとセルフジャッジはしなくなった(気がする) […]