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ゴンサロ・イグアイン―期待と不安が交差する「decente」CF

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こんにちは。4位争い直接対決となるビッグロンドンダービーを落とし、すぐさまリーグ杯準決勝と厳しい闘いが続いているチェルシー(と私のメンタル)です。

さてようやくと言いますか今冬に大物が到着しましたね。


ミランから今季終了までのレンタルでゴンサロ・イグアインの移籍が決まりました。得点力不足にあえぐチームにとっては救世主になるかもしれません。

そこで今日はそのイグアインについてです。

「decnte」CF

イタリア屈指のFWで「悪童」の異名を持つアントニオ・カッサーノがイグアインを評した際に使った言葉だ。「まともな」CFである。そして「王者だ」と。次いで「ゆえにミランは出すべきでない」と続けたがチェルシーサポーターは無視していいだろう。

略歴

デビュー、レアルマドリード時代

確かにイグアインの実績は華々しい。リーベルプレートでプロキャリアを始めると、レアルマドリードに移籍。得点を積み重ねる一方、出場機会には恵まれたとは言い切れないが、リーグ戦では7年間で190試合に出場、107得点と、実績は十分以上だった。
レアル時代はCFだけでなくWGやMFも担当したが、レアルでの最後の監督となるジョゼ・モウリーニョ政権で1トップに固定。ゴールは奪い続けたものの、カリム・ベンゼマとのポジション争いでは後塵を拝し、スタメンの試合は限られた。12-13シーズン終了後に移籍することとなる。

「higuain real madrid」の画像検索結果
(Goal.comより)ベンゼマにスタメンを譲る格好に

ナポリ移籍

ナポリに移籍後は絶対的な存在として牽引。エディソン・カバーニの後継ではあったが、コンスタントにゴールを挙げ、チームの3位入りに貢献。しかし移籍2年目となった14-15シーズンは個人では昨季を上回る得点数だったが、チームは5位に終わる。監督のラファエル・ベニテスがレアルマドリードの新監督に就任するなど、ナポリは新たな時代を迎えた。

サッリとの出会い

15-16シーズン、エンポリを率いていたマウリシオ・サッリが新監督に就任する。攻撃的なサッカーを志向するサッリとアスリートとしても、セリエA移籍3年目というキャリアとしても、最も波に乗った時期に出会った二人は快進撃を見せる。

それまでユベントスの独走が続いていたセリエAのスクデット争いに真っ向から参戦。魅力的なポゼッションサッカーは攻撃陣を駆り立て、前年を10点も上回った。最終的には2位に終わったが、サッリの評価とチームの立ち位置は大きく上がった。

それ以上に話題をさらったのがイグアインの爆発だ。最終節でハットトリックを記録すると積み上げた得点は36。リーグ戦は全38試合で、出場試合数は35。計算上は1試合1点以上の驚愕のペースだった。当然得点ランキングは1位。2位に同胞パウロ・ディバラ(ユベントス)が19得点で、3位にはコロンビアのカルロス・バッカ(当時ミラン)が18点でランクインしたが、その二人を足した数とほぼ同じというのだからいかに異常な数字だったかがわかる。
そしてネットを揺らした36という数字は、同時にリーグ最多得点記録の更新でもあった。実に66年ぶりとなる大記録更新で、自身初のセリエA得点王を派手に祝った。

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(Sky Sportsより)サッリとはキャリア最高の1年を過ごした

ユベントスへ

昨季2位の原動力にしてセリエA得点王、そしてリーグ記録を更新したプレーヤーが求めた新天地は、唯一ナポリが国内で上回れなかったチームだった。
100億超の移籍金はユベントスのみならずセリエA史上最高額。高額な年俸を含めたビッグディールとなった
しかし当然ナポリのサポーターからは強烈なブーイング。後に自身は釈明しており、ナポリ戦で得点した際にセレブレーションは行わなかった。

ユベントスでもコンスタントに得点を重ね、2年間でリーグ戦40得点をマーク。チームの7連覇に大きく貢献した。しかしチームの悲願でもあるCLには16-17シーズンに決勝進出、古巣となるレアルマドリード相手にイグアインもアシストを記録したがチームは敗戦。17-18シーズンにもレアル相手に再び敗れた。

関連画像
(Goal.comより)ロナウドに追い出される形で退団

不調にあえいだミラン時代

18-19シーズン開幕前にチェルシーへの移籍の話も浮上。同チームの新監督に恩師サッリが就任したことを受けてだったが、結局はミランからユベントスへのDFレオナルド・ボヌッチの復帰に際した大型取引に加わる。DFマッティア・カルダーラの完全移籍に加える形で自身もミランへのレンタル移籍が決まった。

ミランではチーム状況が芳しくないこともあり、キャリアの中で最も苦しい時間となる。10節以降ゴールから遠ざかり、セリエAに来てから最も長く得点から見放されることとなった。しかし19節のSPAL戦で決勝点をマーク。結局これがミランへの置き土産となった。

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(Marca)ユーベ戦では激昂し退場。感情の制御をたまに忘れるのは悪癖。

チェルシー加入

そしてついに1月23日、噂は何度も流れながらようやく公式発表。今季終了までのチェルシーへのレンタル移籍が決まった。

チェルシーで活躍できるのか

イグアインはチェルシーで活躍できるのか。ポジティブな面とネガティブな面を考えてみる。

ポジティブな要素

①実績十分の本格派CF

チェルシーにとっては待望の本格派CFと言っていいだろう。近年チェルシーが獲得してきた選手の中でも歩んできたキャリア、実績は群を抜く。共に全チームではスーパーサブ扱いだったモラタとジルーに比べ、ビッグクラブの絶対的点取り屋としての重責を担っていた期間は比べ物にならない。(チェルシーのCF事情はこちら
また31という年齢を考慮すると、サミュエル・エトーのようにキャリアの晩年間際というわけでもなく、少なくともあと1年は全盛期ではなくともトップフォームに近い状態でプレーできるだろう。

また現在のチェルシーが抱えている決定力不足にはうってつけの存在であり、エリア内で仕事ができるタイプ。現状エデン・アザールに負担が集中している状態を脱する解になり得る。

名門ぞろいの経歴、およびセリエA得点王にしてリーグ記録保持者という実績は大きなポジティブ要素。スペインとセリエAでも変わらずに得点を挙げてきた。ジエゴ・コスタ以来の超即戦力CFになりうる可能性は十分。

②サッリサッカーへの適応

冬の移籍が難しいのは何も成立させることだけではない。チーム合流後もまとまった時間が取れないため、戦術への適応、味方との連携が非常に難しい。せっかく獲得しても本領発揮できぬまま、という選手は多い。

しかしイグアインにその心配は薄いだろう。既にサッリサッカーを1年経験しており、最も恩恵を受けた選手とも言える。むしろ経験年数で言えば現在のチェルシー在籍メンバーの大半より多いということもできる。欧州中を見回しても「適応度」・「実績」の面では最適解かもしれない。

連携面はどうだろうか。監督とのコミュニケーションは問題ないとしてピッチ上だ。
そこも心配はあまりないのではないか、というのが感想で、元チームメートのジョルジーニョをはじめ、コンテ政権時より増えたセリエA出身選手も現状は多い。またアルゼンチンの公用語でもあるスペイン語を解する選手も少なくない。代表で今夏のW杯を戦ったウィリー・カバジェロの存在もプラスになるだろう。

③イケメンでない

若いころはイケメンだったが今はさすがにもうその部類ではないだろう(若干ハゲてないか?)。フェルナンド・トーレス、アルバロ・モラタ、オリヴィエ・ジルーといった面々が得点数ではインパクトを残せていないのを考えるとこれもポジティブな材料だ。

ネガティブな要素

①体型

しばしばイグアインに関して指摘されるのが太りすぎなのでは?というものだ。確かにユニフォーム姿を見る限り、絞れているとは言い難い。本人は適正体重といい、実際得点もそこそこ挙げてきたので見逃されている感はあるが、若手時代と比べるとやはり目立つ。
プレミアはフィジカルも重要だがスピードが速いリーグでもある。それについていけないと当然得点も難しい。
実際明らかなウェイトオーバーでシーズンインしたチェルシー2年目のジエゴ・コスタは明らかに苦しんでいた。サッリは「まだ試合に出られる状態ではない」と述べたが、それがコンディションに関しての苦言の可能性もある。

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(The Independentより)186㎝94㎏らしいが・・・

②年齢

31歳という年齢はキャリアの晩年とは言い難いが全盛期でもない。正直36得点を挙げた頃よりかは明らかに落ちているはずで、それと同等の働きを期待するのは無茶である。
そして当然初挑戦であり、チームへの適応はできてもリーグへの適応は難しいかもしれない。もちろん長く活躍してもらえばありがたいが、長期的プランではなく短期的な穴埋め的補強でもある。レンタルであることも含め。CF問題の根本的解決になってはいない。

③ミランでの不調

例外的に得点に見放されるシーズンとなった直近のミラン時代。12試合1ゴールという成績は明らかに物足りず、これが彼のクオリティの低下によるものであるば大きな懸念材料だ。もちろんイグアインはドリブルで3,4人抜き去って決めるタイプではなく、ケガ人や良いとは言えないミランのチームの状態もあるため、一概には言えない。とはいえ得点を挙げられていないのは気になるところだ。
結局おそらく左ウイングに戻るであろうアザールとの連携次第ではないだろうか。ここまでリーグトップの10アシストを記録する10番とのコンビネーションが大きなカギを握ってきそうだ。

④9番

背番号はどうやら呪われし9番になった模様。これをつけたCFは軒並みコケている。ただそろそろ払拭しないと永久欠番になりかねない。

最後に

移籍決定までは年齢やミランでの成績など懐疑的な見方が多かったが、それ以上に4位確保が怪しくなってきたのが現状である。モラタの移籍が濃厚で、ジルーも得点力では心許ない。アザールの0トップはオプションとしては有効だが、敗れたアーセナル戦ではチーム全体の枠内シュートが1本と状況は危機的だ。

もちろんプレミア初挑戦であり、過度な期待はすべきでない。残り15節でどこまで得点を挙げられるかは未知数である。
とはいえ久々の、そして待望のワールドクラスのCFである。期待するなというのも無理な話だ。デビューは次節のボーンマス戦が濃厚とされる。恩師の下どれだけの輝きを再び放てるか。再浮上を期すゴンサロ・イグアインに要注目だ。

~おしまい~

コメント

  1. […] […]

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